地元で頑張る人

廣田 遥さん(トランポリン競技 元日本代表)

 オリンピック2度出場、全日本選手権10連覇!トランポリン競技で培った、諦めない心や跳ぶ楽しさを伝える“伝道師

 ある冬の寒い日、「あおみの広場」には家庭用トランポリンで楽しく跳び跳ねる女性たちの姿が見られました。その日開催されていたトランポリンフィットネス講座の講師を務めていたのは、元オリンピック選手の廣田遥さん。

>子育て中のママを対象にしたフィットネス講座

 廣田さんは、小学6年生の春休みにオーストラリアに短期留学し、ホームステイ先の庭にあったトランポリンに夢中に。そして帰国後、トランポリンが競技として行われていることを知り、大阪トランポリンクラブの門を叩きます。「当時、トランポリン教室は珍しく、大阪市阿倍野区まで通っていました。練習場は高速道路の高架下という恵まれない環境でした」。

>短期留学したオーストラリアでホストファミリーと

 もともと器械体操をしていたこともあり、才能はすぐさまに開花。中学3年生で全日本選手権大会に初出場、高校2年生の2001年から2010年まで全日本トランポリン競技選手権大会で前人未到の10連覇を達成します。さらに2004年のアテネ大会では7位入賞を果たし、2008年の北京大会でも2大会連続出場を達成します。

しかし、集大成となる北京大会の直前の合宿で、恥骨骨折と右足の肉離れを起こしていた影響もあり、決勝に進めず12位と不本意な結果に。「一本跳ぶためにトレーナーさんが朝から晩までケアしてくれました。多くの人に支えられて、演技をやり通せたことにただただホッとしました」。

>左)2004年アテネオリンピックの日本選手団結団式 右)故障を抱えながら臨んだ2008年北京オリンピックでの演技
>2001年から連覇を重ねてきた全日本選手権大会10連覇目

全日本トランポリン競技選手権大会10連覇という大記録を達成した翌年の2011年、惜しまれつつも現役を引退します。

“宙に舞うトランポリンの妖精”と呼ばれ、多くの競技ファンを魅了した廣田さんですが、過酷な競技生活の裏では、数知れない葛藤や自己との戦いがありました。

「トランポリン競技はメンタル競技と言ってもいいほどで、心の強さと安定力が必要不可欠です。そんな時にいつもそばで支えてくれたのは母でした。母と二人三脚で挑んだ全日本選手権やオリンピックでしたね。心理学講師でもある母のおかげでメンタルを磨くことができましたし、その勇気づけや関わり方は、引退後の人生にも大きな影響を与えてくれています」。

引退後の現在は、選手時代の経験を生かし、スポーツキャスターやコメンテーター、MC、ナレーター、トランポリン講師として、多方面で活躍しています。また箕面市トランポリン大使として、トランポリンの普及や強化活動を積極的に行っています。

子どもの室内遊具としてのイメージが強かった家庭用トランポリンですが、新型コロナ禍でエクササイズ器具としてブームに。コロナ終息後も人気は衰えず、2023年にスタートした家庭用トランポリン(ミニトラ)を使ったフィットネスチャンネル「CORE Rhythm with HARUKA 」はじわじわと反響が広がっています。

「トランポリンで5分間、まっすぐジャンプするだけで1kmランニングするのと同じしカロリーを消費できます。家庭用トランポリンで、全身運動+有酸素運動+筋トレ+バランス運動が同時にできてしまうんです。子どもでも大人でも、跳ぶって本能的に楽しい!跳ぶことで、ココロとカラダの軸を整えて、毎日をリズミカルに、ポジティブにジャンプアップしていくお手伝いをしていきたいですね」。

>2012年から地元箕面市で子供向けトランポリン教室をスタート
>2021年の東京オリンピックではコメンテーターとして活躍
>トランポリンを使った子ども&大人向けのプログラムを出張開催
>「諦めない心の持ち方」をテーマにした講演会を全国で開催